
Photo / Shinji Nanba
Edit & Text / Akio Mitomi
2025年3月23日に10周年を迎えた、UCCのカプセル式ドリップコーヒーシステム「ドリップポッド」。記念すべき年を迎えたソロフレッシュコーヒーシステム代表である柳原へのインタビューをお届けする。オフィスでのコミュニケーションのきっかけになったり、旅先のホテルでくつろぎをもたらす「ドリップポッド」のおいしいコーヒーを、これからも多くのお客さまにお届けしたいという気持ちを込めて、10周年にちなんだ10の質問に答えてもらった。
Q1.まずはじめに、毎日どのようにコーヒーを楽しんでいるか、個人的なエピソードをお聞かせください。
「実は最近子どもが生まれて、休日に公園などを散歩する機会も増えたので、ドリップポッドでタンブラーにアイスコーヒーを淹れて楽しんでいます。個人的には酸味が効いていてすっきりした味わいのコーヒーが好きで、ドリップポッドの「モカ&キリマンジァロ」をよく飲んでいます。このカプセルは特にアイスコーヒーにすると非常に爽やかになるので、暑い季節にはぴったりだと思います。
夜は子どもが寝た後に夫婦で映画を見る機会が多いので、ホットコーヒーを飲みながらゆっくりと鑑賞しています。平日の仕事中はコーヒーがあると会議の途中で一息つけるので、リフレッシュできるのはすごくいいと思いますね。オフィスのドリップポッドでコーヒーを淹れている間に、色々な方と話せるというのは素晴らしい。コーヒーができるまでの1分前後ですが、そのわずかな時間でもコミュニケーションが取りやすいのです」

Q2.10年前にドリップポッドが誕生した背景には、コーヒー市場や社会の変化がありましたか?
「ドリップポッドが誕生する数年前には、いわゆるカウンターコーヒーが台頭してきて、クオリティの高いコーヒーを手軽に飲めるようになりました。あのおかげで多くの方が淹れたてのコーヒーを楽しむようになった。スペシャルティコーヒーの流行もあって、コーヒーに本格的な味わいが求められ始めた環境だったと記憶しています。そのタイミングで、オフィスでも抽出したてのコーヒー、本格的なコーヒーを飲むことが浸透していったと思います。そこに、どなたでもボタンひとつで本格的なコーヒーを淹れられるドリップポッドが貢献できると思いました」

Q3.海外発のカプセルコーヒーのようなエスプレッソ方式ではなく、ドリップ方式にこだわる理由を教えてください。
「創業以来92年間、UCCは日本のコーヒー文化を育んできたという自負があります。その中で、日本人が古くからずっと飲んできたのはドリップコーヒー、それが日本の食文化のひとつであることには確信がありました。当時のカプセル式コーヒー市場はエスプレッソ式が主流。欧米に比べて、日本でなぜ普及していなかったのかを考えた際に、やはり日本人の味覚にあったドリップコーヒーを出すべきだ、という意図でドリップポッドをリリースしました」
最高の一杯を楽しむためのドリップポッド
Q4.ドリップポッドは柳原さんが入社された当時の「はやい、簡単、便利」から「最高の一杯」へとブランド価値の軸を移してより進化したそうですが、どのような気づきがあったのでしょうか。
「私がUCCに入社した当初、色々な方々にドリップポッドはどういうものかをヒアリングしたところ、開発者から営業社員まで、どれだけおいしいコーヒーを提供することに情熱を注いでいるか、もちろん飲めば本当においしいということを知りました。それだけドリップポッドを誇りに思っているのに、『はやい、簡単、便利』というブランド価値の設定は違うと気づいたので舵を切ったのが1点目です。2点目はやはり食品なので、消費者の皆さまは本質的にはおいしいものを求めているのが大前提だと思いました。やはりドリップポッドのブランド価値は、農園からこだわったコーヒーを長年培った職人の技で抽出する、『最高の一杯』を届けることにあると考えています」

Q5.ドリップポッドの根本的な商品価値はどこにありますか?
「先ほどのブランド価値『最高の一杯』がそのまま、商品の提供価値であると考えています。ただ『最高の一杯』と言っても、実はそんなに簡単なことではなく、特に消費者の方がおいしいコーヒーを淹れるためには、色々な注意点や技術、手間がかかります。そのせいでコーヒーを我慢することなく、ちゃんと楽しめる。たとえば朝から本当においしいコーヒーを飲みたいという時、ご自分では難しいところがあると思うので、ドリップポッドが最高の一杯を提供できる。おいしいコーヒーが飲みたい時に我慢しなくて済むように、高品質のコーヒーを理想的な状態で提供できることが、根本的な商品価値だと考えています」
柳原社長が5つの質問に答えた前編に続き、インタビュー後編では、オフィスやホテルにドリップポッドを導入するメリットなどに関して、残る5つの質問と答えをお届けする。
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柳原 優樹(やなぎはら ゆうき)
UCCホールディングス株式会社 執行役員 CNBO(グループ最高ニュービジネス責任者)兼
ソロフレッシュコーヒーシステム株式会社 代表取締役社長
外資系コンサルティングファームなど数社を経て、2018年にソロフレッシュコーヒーシステム株式会社の代表取締役社長に就任。就任以降「ドリップポッド」事業は毎年約150%以上成長しており、2020年よりUCCグループ全体の最高新規事業責任者としてグループの注力事業を統括している。