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コーヒー生産量世界第一位の国、ブラジル。ブラジルで生産されるコーヒーの総称を「ブラジルコーヒー」と言い、その圧倒的な生産量は世界中のコーヒーファンを支えています。
一方で「いつも飲んでいるブレンドコーヒーに入っているみたいだけど、ブラジルコーヒーがどんな味なのかは知らない」「他の国のコーヒーと何が違うのかわからない」という人も多いかもしれません。
本記事では、世界で愛されているブラジルコーヒーの基本から現地のコーヒー事情まで、その魅力を余すことなく解説していきます。
ブラジルコーヒー、3つの特徴

ブラジルコーヒーならではの個性を知るには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 1.酸味が穏やかで、ナッツやチョコレートを思わせる甘いコク
- 2.バランスのとれた風味で、ブレンドコーヒーのベースに最適
- 3.世界トップの生産量だから、高品質なのに価格が控えめ
焙煎度合いによっても表情は変わりますが、多くのブラジルコーヒーは比較的酸味が控えめでナッツを思わせる香ばしさや、チョコレートのような甘み・コクのある後味が特徴的です。バランスのとれたマイルドな味わいは、まさに「王道」とも言えるコーヒーの美味しさと言えます。
味わいのバランスが優秀であることから、ブラジルコーヒーはブレンドのベースとして使われることが多いコーヒーです。もしお手元にスーパーなどで買ったコーヒー豆がある場合、裏側の表示を確認してみてください。多くの製品で「ブラジル」の文字が見つけられるかもしれません。
世界のコーヒー市場を支えているブラジルコーヒーは、その生産量の多さから他のスペシャルティコーヒーと比較すると価格が安定しています。そのため、コーヒー初心者の方が最初にチャレンジする「シングルオリジンコーヒー」としてもおすすめです。
※シングルオリジン:特定の産地や畑でとれた単一のコーヒーのこと。他の地域とブレンドされていないため、産地特有の個性を感じやすい。
世界最大のコーヒー生産国ブラジル
冒頭でも解説したとおり、ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、なんと150年以上も生産量トップの座を維持し続けています。2023年の国別コーヒー生産量ランキングでは、2位のベトナムのほぼ2倍近い生産量を誇っており、なんと全世界の生産量のおよそ3割を占めるほどです。ブラジルは世界各国にコーヒーを輸出しており、日本にとっても最大のコーヒー輸入相手国となっています。
▼2023年コーヒー生産量国別ランキング
| 順位 | 国名 | 生産量(トン) |
| 1 | ブラジル | 3,405,267 |
| 2 | ベトナム | 1,956,782 |
| 3 | インドネシア | 760,192 |
| 4 | コロンビア | 680,858 |
| 5 | エチオピア | 559,400 |
ブラジルでは安定して多大な生産量をキープしているため、他のコーヒー生産国に比べて安い価格で取引されています。
コーヒーは嗜好品なので、流通量が少ないとどうしても価格が高く設定されてしまうもの。有名な高級コーヒー「ブルーマウンテン」は、その品質の高さもさることながら希少性の高さが価格に反映されています。一方ブラジルコーヒーは品質が高いわりに安価に手に入ることが多い点が魅力です。「美味しい上に、気軽に楽しめる」。これこそが、ブラジルコーヒー最大の素晴らしさであり、世界中で愛されている理由です。
産地としてのブラジル|コーヒーベルトに位置する国

ブラジルコーヒーの生まれ故郷・南米のブラジル連邦共和国は、国土面積が世界第5位のとても大きな国。日本の20倍以上の面積を持ち、豊かな緑を活かした農業が盛んです。
ブラジルコーヒーの美味しさの秘密は、その恵まれた自然環境にあります。ブラジルは温暖な気候と適度な降水量、肥沃な土壌などコーヒー栽培に適した環境がそろっており、まさに「コーヒー栽培の理想郷」とも言える場所です。
赤道を挟んで北緯25度から南緯25度の間に広がるコーヒー栽培に適したエリアを「コーヒーベルト」といいますが、ブラジルは国土のほぼ全域がコーヒーベルト内にあります。有名なコーヒー産地「ミナスジェライス州」や「サンパウロ州」などは南東部に集中していますが、広大な国土を活かして、国の全域でコーヒーの栽培が行われています。

コーヒー栽培に最適な環境と、広大な国土。この二つが奇跡的に合わさったことで、ブラジルは世界最大のコーヒー生産国としての揺るがない地位を確立しているのです。
ブラジルで行われているコーヒーの精製方法

コーヒーの味わいに大きく影響するのが、収穫後のコーヒーから豆を取り出す「精製方法」の工程です。ブラジルでは主に、次の2種類の製法が使われています。
ナチュラル(乾式)
コーヒーチェリーを果肉がついた状態で天日干しする、伝統的な精製方法です。
果肉がついたままで乾燥させることで、果肉由来のフルーティーなフレーバーが残りやすいという特徴があります。一方で、乾燥過程で果肉が傷みやすく、丁寧な管理が求められる方法です。
パルプドナチュラル(半水洗式)
「ナチュラル(乾式)」と「ウォッシュド(水洗式)」を組み合わせた、精製手法です。
果肉を除去してから天日干しする方法なのですが、ポイントは「ミューシレージ」と呼ばれる豆の周りの粘着物質は除去せずに残す点にあります。
▼コーヒーの断面画像:赤い果肉の内側にある半透明の部分が「ミューシレージ」

果実の味が残らないためナチュラルよりもクリーンな味わいになる一方、ミューシレージが残ることでほどよい甘みが感じられるコーヒー豆になると言われています。
以上のように、製法の違いはコーヒーの味わいにも大きく影響するため、ブラジルコーヒーを選ぶ際は精製方法に注目してみるのも面白いかもしれません。
ブラジルのコーヒー産業の歴史

ブラジルにコーヒーノキが持ち込まれたのは、18世紀ごろだったと言われています。ポルトガル海軍によってフランス領ギアナから持ち込まれたコーヒーは、当時の奴隷制度に支えられて瞬く間に栽培地域を広げていきました。そして19世紀後半には、ブラジルは世界第一位のコーヒー生産国に君臨します。
19世紀後半に奴隷制度が廃止された後は移民の労働力によってコーヒー栽培を続けながら、世界第一位のコーヒー生産国としての地位を守っています。
ブラジルコーヒーの格付け等級

ブラジルコーヒーは、コーヒー鑑定のプロフェッショナル「コーヒー鑑定士(ポルトガル語でクラシフィカドール)」によって厳格な格付けが行われています。鑑定の基準は「生豆の粒の大きさ(スクリーンサイズ)」「混入している欠点豆の数」「カップテストによる味覚判定」の3点です。
欠点豆による格付けはNo.2からNo.8までの等級があり、不思議なことにNo.1という等級が使われることはありません。
▼欠点豆の混入量によるブラジルコーヒーの格付け基準
| 基準 | 300g中の欠点豆の数 |
| No.2 | 4個以下 |
| No.3 | 5~8個 |
| No.4 | 9~26個 |
| No.5 | 27~46個 |
| No.6 | 47~86個 |
| No.7 | 87~160個※輸出不可 |
| No.8 | 161~360個※輸出不可 |
No.1が無い理由は「欠点ゼロの完璧なコーヒーなど存在しない」という思想から。そのため「現実にはありえないNo.1」は設けず、No.2から等級を始めるというユニークな考え方が採用されているのです。ブラジル最大のコーヒー輸出港の名前を冠した「サントスNo.2」は、最高品質のブラジルコーヒーとして世界中から高い信頼を得ています。
美味しいブラジルコーヒーの選び方

自分好みのブラジルコーヒーを見つけるための、2つのポイントをご紹介します。
1.「シングルオリジン」でブラジルコーヒーの個性を楽しむ
産地固有の味わいを知りたいなら、まずはシングルオリジンのコーヒー豆を選んでみましょう。シングルオリジンのブラジルコーヒーを選ぶ際は、焙煎度に注目することで好みの味わいを探しやすくなります。
- ⚫︎中炒り(ミディアム・ハイロースト):酸味や甘味をバランスよく感じたい場合に選びましょう。ブラジルコーヒー特有のナッツやチョコレートの香ばしさが感じやすい焙煎度です。
- ⚫︎深炒り(シティ・フルシティロースト):深いコクと苦みを感じたい場合に選びたい焙煎度で、ミルクとの相性が抜群。カフェオレやエスプレッソにもぴったりです。
2.「ブレンド」で調和のとれた味わいを楽しむ
デイリーコーヒー用に、飲みやすさや価格のバランスを重視して選びたい場合はブレンドがおすすめです。丸みのある味わいのブラジルコーヒーは、他の産地の豆の個性を穏やかに包み込み、飲みやすいコーヒーにまとめてくれます。好みの味わいに応じたブレンドコーヒーの選び方は以下のとおりです。
- ⚫︎「酸味系」の味わいがお好みの場合:グァテマラやエチオピアとのブレンド
- ⚫︎「苦み・コク系」味わいがお好みの場合:ベトナムやインドネシア(マンデリン)とのブレンド
ブラジルコーヒーのおすすめ製品を紹介
ブラジルコーヒーのおすすめ製品を「ブレンド」と「シングルオリジン(100%ブラジル産のコーヒー)」から紹介します。なおブレンドコーヒーのおすすめは、産地を旅するように楽しめるカプセル式ドリップコーヒーメーカーの「ドリップポッド」専用カプセルから3種類をご紹介します。
UCC DRIP POD 鑑定士の誇り スペシャルブレンド

※引用:UCC DRIP POD 鑑定士の誇り スペシャルブレンド
「鑑定士の誇り スペシャルブレンド」は、ブラジルコーヒーのプロフェッショナルである「コーヒー鑑定士」がブレンドを監修したこだわりのブレンドコーヒーです。2種類のブラジル産コーヒー豆を使用することで、フルーティーな余韻とメープルシロップのような優しくまろやかな甘味を引き出しました。
バランスのよい味わいでファンも多く、多くのコーヒー好きにおすすめできるコーヒーになっています。
UCC DRIP POD 鑑定士の誇り リッチブレンド

※引用:UCC DRIP POD 鑑定士の誇り リッチブレンド
「鑑定士の誇り リッチブレンド」は、2種類のブラジル産コーヒー豆とホンジュラス産コーヒー豆のブレンドです。ブラジルコーヒーらしいナッツを思わせる香ばしさが印象的な、ほろ苦く香ばしいコーヒーに仕上がっています。
コク深い味わいは、ミルクとの組み合わせがおすすめ。シンプルなカフェオレで楽しんだり、上にマシュマロを乗せて濃厚な甘さを堪能したりと、お気に入りの味わい方を探してみてください。
UCC DRIP POD 鑑定士の誇り アイスコーヒー

※引用:UCC DRIP POD 鑑定士の誇り アイスコーヒー
アイスコーヒー用にブレンドされた「鑑定士の誇り アイスコーヒー」は、ダークチョコレートやカカオのような苦みがありながら切れのよい余韻があり、まさにアイスコーヒーに最適な一品です。
アイスにしても味わいがぼやけることがないため、ミルクを加えた「アイスカフェオレ」にしても美味しく楽しめます。コーヒー本来のコク深さと濃厚な味わいを、冷たい喉越しでごくごくと味わってみてください。
UCC 珈琲探究 炒り豆 ブラジル ベレーダ農園 150g (豆)

引用:UCC 珈琲探究 炒り豆 ブラジル ベレーダ農園 150g (豆)
産地の特長をおいしさとして最大限に引き出したコーヒーシリーズです。ブラジルコーヒーらしいナッツのような風味と、バランスの良いコクが存分に感じられる「これぞ、ブラジルコーヒー」と言えるコーヒーになっています。
ブラジルコーヒーならではの味わいを感じてみたい人におすすめです。
ブラジルコーヒーを美味しく飲む方法

ブラジルコーヒーの個性を引き立てる、おすすめの飲み方を2つご紹介します。コーヒーの味そのままが楽しめるブラックとは違った表情を楽しんでみてください。
1.ホットなら、ミルクや砂糖を入れて
バランスのとれた味わいのブラジルコーヒーは、ミルクや砂糖との相性が抜群です。特に深炒り豆から淹れたコーヒーにミルクをたっぷりと注いだカフェオレは、コーヒーの香ばしさとミルクの優しい甘さが溶け合った格別の美味しさです。
ぜひ、ハンドドリップで丁寧に抽出したコーヒーにミルクや砂糖を加えて楽しんでみてください。ブラックコーヒーで一口味わってから「味変」するようにミルクや砂糖を加えるのもおすすめですよ。
2.アイスにするなら、爽やかなアレンジコーヒーにチャレンジ
アイスコーヒーとして楽しむ場合は、中米のカクテル「モヒート」をイメージしたアレンジにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

作り方は以下のとおりで、非常に簡単です。
- 1.濃いめに抽出したブラジルコーヒーにガムシロップを加え、たっぷりの氷で急冷する
- 2.背の高いグラスにミントを加えて軽く潰す
- 3.氷を入れて1のコーヒーを注ぎ、上にミントとライムを飾る
- 4.最後に炭酸を注ぎ入れる
フレッシュなハーブとライムの酸味、ブラジルコーヒーのすっきりした苦みの組み合わせが楽しめる、爽快感あふれるドリンクです。なおご紹介したのはアルコールを使わないアレンジコーヒーですが、「ラム酒」を使って本格的なコーヒーカクテルにアレンジもできます。
ブラジルコーヒーのおすすめコーヒーマリアージュ

ブラジルコーヒーを味わう時間をもっと豊かにする、コーヒーマリアージュのアイデアを紹介します。
ブラジルのチョコレート菓子「ブリガデイロ」
ブリガデイロとは、ブラジル発祥の一口チョコレート菓子のこと。コンデンスミルクやココアパウダーが練り込まれており、しっかりとした甘みが特徴です。
この「甘さ」には、苦みのあるコーヒーがぴったり。コーヒーの香ばしさとチョコレートの濃厚なコクが口の中でとろけるように混ざり合い、至福のコーヒータイムになります。深炒りのブラジルコーヒーやエスプレッソと合わせてみてください。
ブラジル風プリン「プヂン」
砂糖の代わりに練乳を使って作るブラジル風プリン、「プヂン」。むっちりとした固めの食感がくせになる、新感覚のスイーツです。
滑らかな舌触りと濃密な甘さは、ブラジル産のコーヒーにベストマッチ。ホットのブラックコーヒーと合わせて、溶け合う甘さを感じてみてはいかがでしょうか。
朝食にぴったりなブラジル風チーズパン「ポンデケージョ」
ポンデケージョは、小麦粉の代わりにタピオカ粉を使ったモチモチのチーズパンです。ブラジルでは、コーヒーとともに食べられる「朝の定番メニュー」です。
チーズのほのかな塩気がコーヒーの自然な甘みを引き立ててくれます。ポンデケージョ×ブラジルコーヒーで、本場ブラジルの朝ご飯を真似してみるのも楽しいですね。
コーヒーの本場!ブラジルでのコーヒーの楽しみ方を紹介

ブラジルにおいてコーヒーは日々の生活に欠かせない存在。生産量だけでなく消費量も世界的にトップクラスで、コーヒーの地産地消が行われている国なのです。
そんなブラジルでの生活に根付いているのが「カフェジーニョ(Cafezinho)」と呼ばれるコーヒーです。これは、小さなデミタスカップで提供される、砂糖をたっぷり加えた甘いコーヒーのこと。「カフェジーニョ」とはポルトガル語で「小さなコーヒー」の意味で、ブラジルにあるバール(軽食屋)で提供されています。
現地の人にとって、バールでカフェジーニョを飲むのは大切なひととき。仕事仲間や友人と、一日に何杯も飲むのが「ブラジル流」です。
ブラジルを訪れる機会があれば、ぜひ現地のスタイルで「カフェジーニョ」を楽しんでみてください。
まとめ|日常を彩るブラジルコーヒーは、世界中に愛される存在
世界最大の生産量を誇り、日本とのつながりも深いブラジルコーヒー。その魅力は、ナッツやチョコレートを感じさせる親しみやすい味わいと、どんなブレンドやアレンジにも対応できる懐の深さにあります。
日常に寄り添ってくれる一杯のブラジルコーヒーから、あなたのコーヒーの世界をさらに広げてみてはいかがでしょうか。