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夏のカフェメニューの定番といえば「アイスコーヒー」。しかしその常識に変化が訪れつつあることをご存知でしょうか?
今、アイスコーヒーの新たな選択肢として注目されているのが、コーヒーに果肉や果汁を合わせた新感覚のアレンジドリンク「フルーツコーヒー」です。20代を中心にじわじわと認知度を上げており、フルーツが乗った涼し気な見た目はSNS映えも抜群。メニューに加えることで、客単価のアップだけでなくSNS拡散による新規顧客獲得にも期待できます。
本記事では、UCCが2025年5月に実施したアイスコーヒーに関する消費者調査のデータをもとに、売上貢献の可能性を秘めたフルーツコーヒーの魅力を分析し、メニュー開発のアイデアや具体的なレシピの例などをご提案します。
【最新データ】消費者がアイスコーヒーに求めているものとは?
アイスコーヒーは「コク深くビターな味わい」をイメージする人も多いのではないでしょうか?。しかし近年では、消費者がアイスコーヒーに求める味が大きく変化していることが明らかになりました。まずは次のグラフをご覧ください。

UCCが2025年5月に行った最新のアイスコーヒーに関する調査によると、消費者の多くがホットコーヒーと比較してアイスコーヒーに対し「キレのよい酸味やスッキリ感」「爽やかでフルーティーな味わい」を求めていることがわかりました。
近年「フルーツティー」や「レモネード」などがトレンドになっていることなどからもわかる通り、温暖化による夏の蒸し暑さにより、夏のドリンクにはリフレッシュ感が強く求められる傾向が強くなっています。
コーヒーを月に2~3杯以上飲む対象者へ実施した、アイスコーヒーに関する消費者調査(n=800)では、20代で「カフェなどの外出先でコーヒーをテイクアウトして飲む」と回答した人が29.4%にのぼり、約3人に1人が利用していることがわかりました。これは他の年代(30~60代)の平均値(20.0%)と比べて9.4ポイント高く、若年層が多くカフェを利用していることがうかがえます。

データからも明らかになっている「スッキリ・フルーティー」というニーズを押さえることこそが、飲食店におけるドリンク新メニュー開発の鍵になることは間違いありません。
新しいアイスコーヒーのトレンド「フルーツコーヒー」に注目!
そこで、消費者のニーズに合致したアイスコーヒーの新メニューとしておすすめしたいのが「フルーツコーヒー」です。
フルーツコーヒーとは、急冷式ドリップで淹れたアイスコーヒーにフルーツを加えることでコーヒーの持つ風味をより引き立てることができるアレンジドリンクのこと。氷の上に直接ドリップして急速で冷やすことで、コーヒーの持つ風味をギュッと閉じ込めることが出来る「急冷式ドリップ」はドリップらしくみずみずしい飲み口で、フルーツとの相性もばっちりです。
例えば、柑橘系の風味があるアフリカ系のコーヒー豆(ドリップポッドカプセルの場合、「モカ&キリマンジァロ」)とオレンジを組み合わせた「オレンジコーヒー」や、洋梨のような甘さを持つ「ホンジュラス&コロンビア」とラ・フランスを組み合わせたドリンクなど、アイデア次第で様々なレシピがあります。なおアイデアの例や具体的なレシピは記事の後半で紹介します。
果物由来の自然な酸味や爽やかな甘味が魅力のフルーツコーヒーは、消費者が求める「スッキリ・フルーティー」のニーズを満たしつつ、SNSでの拡散効果も狙える有効な一手となりえます。
まずはこの新しいトレンドについて、消費者がどのように感じているかをご覧ください。

調査によると、なんと20代は2人に1人が、30代でも3人に1人がフルーツコーヒーを飲んだことがある・知っているという結果が出ています。これは若年層を中心にフルーツコーヒーが広まりつつあることを示しています。
見た目が華やかなフルーツコーヒーは「SNS」での宣伝効果が抜群
フルーツコーヒーの認知経路についても注目してみましょう。以下のグラフからわかる通り、フルーツコーヒーの認知経路は半数以上が「SNS」となっています。

フルーツコーヒーは、カットフルーツを乗せたり果汁の色彩を活かしたアレンジをすることで、SNSに映える美しいビジュアルを生み出すことができます。写真映えする華やかな見た目はSNSとの親和性が高く、他のドリンク以上にSNSを通じた集客効果を見込めるでしょう。

※画像引用:#バリスタのいないアイスコーヒー専門店「ひみつのドリップ」
注文したお客様が写真をSNSで投稿すれば、投稿そのものがお店やメニューの宣伝になるという好循環を生み出す可能性を秘めています。
また、フルーツコーヒーが持つ市場のポテンシャルにも注目です。以下のグラフが示す通り、フルーツコーヒーを「実際に飲んだことがある人」は1割弱であるにもかかわらず、フルーツコーヒーを知っている人のうちの約7割が「飲んでみたい」と回答しています。

このグラフの結果は、消費者の多くが「飲んでみたいが飲む機会がない」と感じている可能性を示唆しています。フルーツコーヒーを提供する競合が少ない今だからこそ、他店に先駆けて導入する一大チャンスだと言えるのではないでしょうか。
フルーツコーヒーを始めるなら「今」!データから理由を深堀り
とはいえ、導入するうえで不安もあるかもしれません。第一に「本当に美味しいの?」「見た目のインパクトだけでは受け入れられないのでは?」といった疑問もあることでしょう。
しかし先述のアイスコーヒーに関する調査では、実際にフルーツコーヒーを飲んだ20代~60代の消費者の8割以上が「美味しいと感じた」という結果が出ており、特に20代の消費者だけ見ると9割以上が美味しいと回答していました。美味しいと感じた具体的な理由としては以下の意見が特に多く見られました。
- ⚫︎フルーティーな風味を楽しめるから
- ⚫︎スッキリとした飲み心地だから
- ⚫︎爽やかな味わいだから
- ⚫︎ゴクゴク飲めるから
これらの意見は、最初に紹介した消費者がアイスコーヒーに求めている「スッキリ・フルーティー」というニーズとも見事に合致しています。
また、別の質問「フルーツコーヒーを飲んでどう思いましたか?」については「新感覚のドリンク」「暑い夏にピッタリ」といった声が挙がっています。

「コーヒーの概念が変わった」という意見も多く見られることから、コーヒーファン以外の消費者にも魅力を訴求できる可能性があることを示しています。「ブラックコーヒーやカフェオレよりも飲みやすい」「苦味が控えめ」といった声も大きく、コーヒーを苦手としている層にも受け入れられるポテンシャルがあります。
フルーツコーヒーの注目度・満足度を示す成功事例をご紹介

UCCでは、2023年から夏限定のアイスコーヒーイベント「#バリスタのいないアイスコーヒー専門店 ひみつのドリップ」を開催しています。3年目となる2025年夏は「ご当地フルーツコーヒー」をテーマに展開し、延べ約8000人が来場する盛況ぶりとなりました。
本イベントでは、カプセル式ドリップコーヒーマシン「DRIP POD YOUBI」で抽出した急冷式ドリップのアイスコーヒーと、日本最大の産直通販サイト「食べチョク」を通じて全国の生産者から直接仕入れたフルーツをマリアージュ。また、SNS(X)で飲みたい追加メニューを投票する「フルーツコーヒー総選挙」企画では5日間で4,000票を超える投票が集まるなど、フルーツコーヒーの注目度の高さを実感できる結果になりました。
※参考:ひみつのドリップ|今年は「ご当地フルーツコーヒー」で夏にぴったりのアイスコーヒーをお届け
導入は簡単!フルーツコーヒーを美味しく作るポイントを解説
「導入したいけど、フルーツは原価が高い」「新メニューはオペレーションが難しい」といった懸念点が気になる方もいるかもしれません。しかし以下のアイデアを活用することでオペレーションを簡略化しつつ付加価値を高め、客単価をアップさせることで利益につなげることが可能になります。
- ⚫︎旬のご当地フルーツで差別化
- ⚫︎冷凍フルーツを活用してコストカット
- ⚫︎モクテルとして提供して付加価値をアップ
- ⚫︎ドリップマシンを使い、味の安定化とオペレーションスピード向上
それぞれ解説していきます。
旬のご当地フルーツで差別化
コーヒーと地域の名産フルーツを組み合わせることで、ここでしか飲めないという強力な付加価値を生み出すことができ、フルーツコーヒーの存在自体が観光資源にもなります。地元農家から原料を仕入れてSNSでアピールするなど、食に興味がある観光客をターゲットにした戦略も効果的です。
冷凍フルーツを活用してコストカット
スーパーで手に入るような冷凍フルーツやジャム・シロップなどを活用すれば、コストを抑えつつ、通年フルーツコーヒーを提供することができます。「柑橘系」「ベリー系」など、人気の高いメニューを定番化すれば固定客を増やすことにもつながります。
モクテルとして提供して付加価値をアップ
色合いや見た目の美しさを活かし、「モクテル(ノンアルコールカクテル)」として提供することで単価のアップを狙うことができます。カクテル用の炭酸やハーブ、スパイス、フルーツなどがそのままコーヒーモクテルの材料として流用できるため、原料の在庫の中から新メニューを生み出すことが可能です。
ドリップマシンを使い、安定した味とオペレーションスピードを向上
果汁の爽やかさが魅力のフルーツコーヒーにはクリアな味わいのコーヒーが不可欠であり、急冷式ドリップが欠かせません。しかしこの抽出方法には正しい急冷式のドリップ抽出技術が必要になり、オペレーションを担当する従業員によって味わいに差が出てしまうリスクがあります。
そこでおすすめなのが「DRIP POD(ドリップポッド)」などのカプセル式ドリップマシンを活用することです。例えばドリップポッドなら、カプセルを入れてボタンを押すだけで1分ほどで味ムラのないアイスコーヒーが抽出できるため、フルーツと合わせる際にも非常におすすめです。アイスコーヒー専用の抽出モードが用意されているため、ベースとなるコーヒーの味わいにもこだわることができます。
※参考:DRIP POD YOUBI | ソロフレッシュコーヒーシステム株式会社
フルーツコーヒーの人気レシピを具体的に紹介
最後に、フルーツコーヒーの具体的なレシピアイデアを4つ紹介します。
1.爽やかな甘さが夏にピッタリ「フルーツコーヒー パイン&マンゴー」

画像引用:フルーツコーヒー パイン&マンゴー | コーヒーのおいしい話 - UCCドリップポッドマガジン
夏の定番フルーツ「パイナップル」を使ったレシピです。パインジュースとガムシロップを使って「層」を作ることで、写真映えする美しいドリンクに仕上がります。
- 材料(1人分)
- ⚫︎酸味・フルーティー系のコーヒー(ドリップポッドのカプセルなら「ハワイコナブレンド」がおすすめ):70ml
- ⚫︎パイナップル:1切れ
- ⚫︎マンゴー:30g
- ⚫︎パインジュース:20ml
- ⚫︎ガムシロップ:3g
- ⚫︎氷:適量
- 作り方
- 1.氷を入れたグラスに、パインジュース、角切りにしたマンゴー、ガムシロップを入れる
- 2.濃いめにコーヒーをドリップし、急冷式※でアイスコーヒーを作る
- 3.1にアイスコーヒーをゆっくりと注ぐ
- 4.グラスにパイナップルをトッピングする
ガムシロップやミルクなど、重い液体を先に入れてからゆっくりとコーヒーを注ぐことで美しい二層が作れるようになります。他のアレンジコーヒーにも応用できますので、ぜひチャレンジしてみてください。
※おいしいアイスコーヒーの作り方についての詳細はこちらの記事を合わせてご確認ください。
2025年版アイスコーヒーアレンジ10選!簡単レシピから本格カフェメニューまで | UCCドリップポッド
2.炭酸×コーヒーの爽快感がクセになる「フルーツコーヒー パッションフルーツ」

画像引用:フルーツコーヒー パッションフルーツ | コーヒーのおいしい話 - UCCドリップポッドマガジン
パッションフルーツの濃厚さと炭酸のはじける飲み口が暑い季節にピッタリのレシピ。ベースのコーヒーには酸味やフルーティー感が強い豆を選ぶことで、調和の取れた味わいになります。
- 材料(1人分)
- ⚫︎酸味・フルーティー系のコーヒー(ドリップポッドのカプセルなら「ハワイコナブレンド」がおすすめ):70ml
- ⚫︎パッションフルーツ(シロップ漬け):10ml
- ⚫︎炭酸:40ml
- ⚫︎パインジュース:20ml
- ⚫︎アガベシロップ:5g
- ⚫︎ミントまたはタイム:適量
- ⚫︎氷:適量
- 作り方
- 1.氷を入れたグラスに、パッションフルーツ、アガベシロップを入れる
- 2.濃いめにコーヒーをドリップし、急冷式でアイスコーヒーを作る
- 3.1にアイスコーヒーをゆっくりと注ぐ
- 4.マドラーで軽くかき混ぜてから炭酸を注ぎ、ハーブをトッピングする
3.通年提供できる「フルーツコーヒー バナナ」

画像引用:フルーツコーヒー バナナ | コーヒーのおいしい話 - UCCドリップポッドマガジン
通年どこでも購入できるフルーツ「バナナ」を使ったレシピです。ミルクのコクやバナナの濃厚な甘みを楽しめるレシピになっているので、寒い季節に温かい室内で飲むメニューとしてもおすすめです。
- 材料(1人分)
- ⚫︎深煎りのコーヒー豆(ドリップポッドのカプセルなら「炭焼珈琲」がおすすめ):80ml
- ⚫︎バナナ:1本
- ⚫︎牛乳:80ml
- ⚫︎ホイップクリーム:適量
- ⚫︎チョコソース:適量
- ⚫︎ミント:適量
- ⚫︎氷:適量
- 作り方
- 1.濃いめにコーヒーをドリップし、急冷式でアイスコーヒーを作る
- 2.バナナと牛乳、1で抽出したコーヒーを入れてミキサーにかける
- 3.氷を入れたグラスに2を注ぎ、ホイップクリームを乗せてチョコソースをかける
- 4.バナナスライスとミントをトッピングする
4.カフェインレスコーヒーを使った「フルーツコーヒー りんご」

画像引用:フルーツコーヒー りんご | コーヒーのおいしい話 - UCCドリップポッドマガジン
最後にご紹介するのはカフェインレスコーヒーを使ったフルーツコーヒーレシピです。カフェインを控えている人にはもちろん、コーヒーが苦手な人でも飲みやすい、バランスのとれた爽やかな味わいのドリンクになっています。
- 材料(1人分)
- ⚫︎カフェインレスコーヒー(ドリップポッドのカプセルなら「カフェインレスコーヒー」がおすすめ):70ml
- ⚫︎りんご:1/4個を角切り
- ⚫︎100%りんごジュース:70ml
- ⚫︎メープルシロップ:5ml
- ⚫︎氷:適量
- 作り方
- 1.氷を入れたグラスにりんごジュース、メープルシロップを入れてマドラーで混ぜる
- 2.濃いめにコーヒーをドリップし、急冷式でアイスコーヒーを作る
- 3.角切りにしたりんごをトッピングする
まとめ|フルーツコーヒーは新しい夏の定番メニューになる
今回ご紹介したデータからは、アイスコーヒー市場に新たなトレンドが生まれつつあることがわかります。
- ⚫︎特に若年層は、アイスコーヒーに「スッキリ・フルーティー」感を求めている
- ⚫︎アイスコーヒーのトレンドは「フルーツコーヒー」。潜在顧客が多いが取り扱い店舗が少ないブルーオーシャン市場である
- ⚫︎地元のフルーツを使ったりアレンジで工夫するなどでオリジナルメニューが作りやすい
- ⚫︎見た目にもこだわればSNSでの拡散力が期待できる
夏のドリンクメニューのマンネリを打破する新たな一手として、ぜひフルーツコーヒーを取り入れてみてはいかがでしょうか。