コーヒーで仕事の集中力は上がる?効果的な飲み方やおすすめの時間帯

「集中力が上がる気がする」「頭がシャキッとする」。そういった理由から、仕事のお供として日頃からコーヒーを飲んでいる方も多いのではないでしょうか。

コーヒーに含まれるカフェインには、脳を目覚めさせ集中力を高める効果があるとされています。しかしその効果を最大限発揮するためには、飲み方のコツや注意点もあります。
本記事では『なぜコーヒーで集中力が上がるのか』や『集中力アップにつなげる正しい飲み方』などについて、論文なども引用しながらわかりやすく解説していきます。

ぜひ最後まで本記事をご覧いただき、集中効果を高めるコーヒーの飲み方や楽しみ方を試してみてくださいね。

コーヒーは集中力を上げるのか?論文を用いて科学的に解説

冒頭でも申し上げた通り、コーヒーを飲むことで集中力アップの効果が期待できます。集中力を上げると考えられている最大の理由は、コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用によるものです。
眠気覚ましにカフェインが効くというのは有名ですが、カフェインには眠気覚まし以外にもさまざまな効果があることがわかっています。以下は論文などで確認されている、カフェインの集中効果の一例です。

● 記憶力の向上
● 作業効率の向上
● 注意力の向上
● 認知機能の向上
● 身体パフォーマンスの向上
● リラックス、疲労改善

それではさっそく、コーヒーと集中力の関係を検証した論文をいくつか見てみましょう。

● 習慣的にコーヒーを飲む人を対象に言語記憶や選択反応時間を測るテストを受けさせたところ、コーヒーの摂取量が多いほどよい結果が表れ認知能力の向上が見られた。
※参考:Does caffeine intake enhance absolute levels of cognitive performance? – PubMed

● コーヒーを飲んだ学生とミネラルウォーターを飲んだ学生に、簡単な計算問題を解かせたところ、コーヒーを飲んだ学生の作業成績が高くなり、脳内情報処理能力や選択的注意力が高まっていたことが示された。
※参考:コーヒー摂取による作業成績の向上と ストレス反応の軽減

このような研究結果からわかる通り、コーヒーは脳や身体機能のパフォーマンスを上げ、仕事の能率を高める飲み物として有用であることがわかります。

一方でカフェインのとりすぎは頭痛や脱水、過度の興奮といったマイナス面もあり、各国政府によって注意喚起が行われています。

たとえば『カナダ保健省』や『欧州食品安全機関(EFSA)』は、健康な成人においてカフェインを1日400mg未満に留めることを推奨しており、これは150mlのコーヒーカップでおよそ3~4杯程度の量に相当します。

日本では明確な摂取基準は設けられていないものの、農林水産省など各省庁で過剰摂取について注意を呼びかけています。
※参考:カフェインの過剰摂取について:農林水産省

次からは、カフェインが集中力を上げるとされる科学的な仕組みや、コーヒーが持つカフェイン以外の集中効果について深堀りしていきます。

カフェインで集中力が上がる仕組み

疲労が溜まることで体内に合成される『アデノシン』という物質は、脳の興奮状態をゆるめ眠気を引き起こします。カフェインにはこのアデノシンの結合を阻害する働きがあるため、『眠気覚まし』や『脳の覚醒』といった効果があります。

なおアデノシンは眠気を促すだけでなく、やる気やひらめき、集中力に関係する神経物質『ドーパミン』も抑制してしまいます。ドーパミンの働きをキープして仕事中のパフォーマンスを維持するためにも、カフェインは効果的です。

こういったカフェインの作用は医療の現場にも活用されており、その効果は科学的にも実証されていることがわかります。

またカフェインで集中力が上がることを示す例として、日常的にカフェインを摂取している長距離ドライバーの方が事故を起こす可能性が63%も減少したという論文も発表されています。

※参考:Use of caffeinated substances and risk of crashes in long distance drivers of commercial vehicles: case-control study | The BMJ

実はカフェインだけじゃない!コーヒーの集中効果

実はカフェインレス(デカフェ)コーヒーでも、一定の集中効果があることを知っていますか?コーヒーの集中効果はカフェインだけでなく、『香り』によっても得られることが数々の研究からわかっています。
たとえば、NPO法人日本ブレインヘルス協会理事長の古賀良彦先生は、コーヒーの香りによって集中力や情報処理能力が高まると話しています。
また東邦大学理学部が行った実験では、コーヒーの香りを嗅がせたネズミはストレス環境下でも記憶に関わる神経が活発に働いたという結果が得られたそうです。

海外でも研究が行われており、コーヒーとただのカフェイン水を比較した実験では、コーヒーを飲んだ場合のみ一部の作業記憶や認知機能が向上が確認できたという結果が出ています。

※参考:[Health&Beauty]コーヒーの香りは脳の活動に大きな影響を与えている!? | So, Coffee?
※参考:Is Coffee’s Morning Jolt Mostly Placebo?


カフェインの持続時間とコーヒーで集中力を上げる飲み方

Tablet, newspaper, cup of coffee and alarm clock on wooden tray

せっかく仕事の集中力アップにコーヒーを飲むのであれば、効果を最大限感じられる方法を試したいものですね。その場合に気をつけたいのが『飲むタイミング』と『飲み方』です。

コーヒーで集中力を上げたい場合は以下のポイントを意識して飲むと効果を高めることができます。

● 集中したい30分~1時間前にコーヒーを飲む
● ホットのドリップコーヒーを飲む

それぞれ詳細を解説していきます。

おすすめの飲むタイミング|集中したい30分~1時間前

コーヒーで集中力を上げるなら、大事なのは飲む量よりも『タイミング』です。というのも、コーヒーを飲んだ後のカフェインの血中濃度は摂取後30分~2時間ほどで最大になり、その後効果が4~5時間程度続くからです

コーヒーの適切な量は健康な成人で1日3~4杯とされていますから、その3~4杯をいつ飲むかが重要になります。

そこでおすすめしたいのが、以下の時間帯にコーヒーを飲むことです。

<オフィスワーカーがコーヒーを飲むのにおすすめのタイミング例>
● 朝の業務開始30分~1時間前
● ランチタイム、または午後の業務開始直前
● 大事な会議や集中したい作業を行う30分~1時間前

カフェインの持続時間と集中したいタイミングを合わせることで、コーヒーの効果を仕事中に実感できるでしょう。

カフェインの作用は時間差で出始めることから、仮眠をとる直前にコーヒーを一杯飲んでおくことも効果的です。カフェインの作用が表れるタイミングですっきりと目覚めることができますよ。また仮眠による疲労回復とカフェインの力と合わせて、高い集中力効果を狙えます。
ただしカフェインの代謝スピードには個人差があり、効果時間は人によって前後する点は押さえておきましょう。

おすすめの飲み方|ホットのドリップコーヒー

より大きな集中力アップを狙うなら、飲み方はホットのドリップコーヒーがおすすめです。その理由は、香りによる集中効果が期待できるからです。

前述の通り、コーヒーの香り成分には作業効率や認知機能を向上させる効果があります。温かいドリップコーヒーは缶コーヒーやインスタントコーヒーと比較して香りが立ちやすく、より『香りによる集中効果』を期待できるでしょう。オフィスでコーヒーを飲む場合は、手軽にドリップコーヒーが飲めるコーヒーマシンの利用がおすすめです。

オフィスで手軽に本格ドリップ|全自動&ワンドリップで淹れたてコーヒーを楽しむ方法

なお、缶コーヒーのカフェイン量とドリップコーヒーのカフェイン量にはほとんど変わりがないため、『缶コーヒー』でもカフェインによる集中効果は得られます。

カフェオレや砂糖入りコーヒーの集中効果は?

『砂糖入りコーヒー』や『カフェオレ』では集中効果を得られないのか?と疑問に思われる方もいるかも知れません。

結論から言うと、集中力アップを目的とするならブラックまたは砂糖入りのコーヒーがおすすめです。

砂糖入りコーヒーの集中効果とは?

砂糖(ブドウ糖)は脳のエネルギー源となるため、コーヒーに含まれるカフェインの覚醒効果と合わせると、脳の働きをより活発にすることが期待できます。

ただし砂糖入りカフェイン飲料は、効果が強すぎて体内時計が狂うという研究結果も発表されています。そのため日常的に飲む際は『ブラックコーヒー』を、ここ一番で集中したい時には『砂糖入りコーヒー』をと、使い分けて飲むとよいでしょう。

※参考:甘味カフェイン飲水によるマウス体内時計と活動リズムの変化〜甘味カフェイン飲料の摂り過ぎで昼夜逆転?!〜 | 広島大学

カフェオレはリラックスタイムの疲労回復に

『カフェオレ』や『カフェラテ』といったミルク入りコーヒーに多く含まれる『カルシウム』には、脳機能を改善し集中力を上げる効果があります。ただし牛乳には高いリラックス効果もあるため、純粋な『集中力アップ』目的の場合はブラックコーヒーや砂糖入りコーヒーに軍配が上がります。

カフェオレは、疲れを感じて休憩した際に、疲労回復目的で取り入れてみてはいかがでしょうか。

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