
目次
- ●カフェインレスコーヒーとデカフェコーヒーは何が違うの?
- ●カフェインレスコーヒーは健康にいいって本当?
- ●カフェインレスコーヒーは夜に飲んでも大丈夫?
健康志向の高まりから、世界中で需要が伸びている『カフェインレス(デカフェ)コーヒー』。
本記事ではカフェインレスコーヒーでよく聞かれる上記の疑問に答えながら、その効果や自分にあった製品の選び方を詳しく解説していきます。
カフェインを健康的にコントロールするコツや、カフェインレスコーヒーを美味しく楽しむ方法なども紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
『カフェインレスコーヒー』ってどんなもの?デカフェやノンカフェインとの違いとは

カフェインレスコーヒーとは、カフェインの大部分を除去したコーヒーのことです。ゼロではないものの、カフェインの量はごくわずかになっています。またカフェインレスコーヒーはすっきりとした味わいのものが多い傾向にあります。通常のコーヒーよりも苦みが少ないため、コーヒーが苦手な方や若い方にも飲みやすい点が特徴です。
全日本コーヒー公正取引協議会(コーヒー公取協)が定義する「カフェインレスコーヒー」とは『カフェインを90パーセント以上除去したコーヒーのこと』を指します。
『カフェインレス』と似た言葉に『デカフェ』『ノンカフェイン』という言葉がありますが、それぞれの意味の違いが気になっている方も多いのではないでしょうか?
それぞれの意味やコーヒーにおける基準についてまとめると、以下のようになります。
カフェインレス・デカフェ・ノンカフェインの違い
意味 | コーヒーにおけるカフェイン除去率※ | |
---|---|---|
カフェインレス | カフェインの少ない飲料・食品 | 90%以上 |
デカフェ (デカフェネイテッド) | カフェインを少なくした飲料・食品 | 90%以上 |
ノンカフェイン | カフェインが全く含まれていない飲料・食品 | ノンカフェインのコーヒーはない |
厳密に考えると意味に違いはあるものの、『カフェインレスコーヒー』と『デカフェコーヒー』は同じものだと考えても問題ありません。
とはいえ、どうして『カフェインレス』という呼び方と『デカフェ』という呼び方の違いがあるのか疑問に思う方もいるかもしれませんね。次からは、それぞれの言葉の違いをより詳しく解説していきます。
カフェインレスとは
カフェインレスとは『カフェイン(caffeine)』と『レス(-less)』をあわせた和製英語です。
カフェインをほとんど含まないという意味で用いられ、以下の2種類の飲料や食品に使われます。
- ●元からカフェインが少ない飲料・食品
- ●コーヒーをはじめとした、カフェインを含む飲料・食品のカフェインを特殊な製法でカットしてカフェインの量を減らしたもの
日本ではカフェインを90%以上除去したコーヒーのみがカフェインレスと名乗ることを許されており、少ないカフェイン量でコーヒーを楽しむ選択肢として需要が広がりつつあります。
デカフェとは
デカフェとは、『デカフェネイテッド(decaffeinated)』を略した言葉です。英語ではこちらの言葉が使用されており、欧米でも『デカフェ(decaf)』と略して呼ばれることがあります。
デカフェという言葉には、カフェインを除去したという意味があります。日本においては、デカフェとカフェインレスはほとんど同じ意味で用いられることが多いです。
『デカフェ(デカフェネイテッド)コーヒー』と表示できるのは、カフェインレスと同様に90%以上のカフェインを除去した製品のみとなります。
カフェインがゼロのものに用いられ、麦茶やルイボスティー、そば茶などがノンカフェインにあたります。
ノンカフェインとは
ノンカフェインとは、『ノン(non)』『カフェイン』つまりカフェインがないという意味です。カフェインレスと同様にこちらも和製英語で、欧米では『カフェインフリー』と呼ばれます。
現状カフェインゼロのノンカフェインコーヒーはありません※。風味が近いといわれるノンカフェイン飲料には『たんぽぽコーヒー』や『チコリコーヒー』などがありますが、これらはコーヒーとは別物です。
※2024年12月時点の情報をもとに執筆しています。
カフェインを取りすぎるとどうなる?

コーヒーに含まれるカフェインには脳の覚醒作用があり、適切に取れば集中力アップや眠気覚ましといったメリットになります。
一方でカフェインは、摂りすぎには注意をしたい成分です。大量に摂ることで以下の症状が表れることがあります。
- ●不眠・眠りが浅くなるなどの睡眠障害
- ●吐き気や頭痛
- ●イライラ・落ち着かなくなる
- ●トイレが近くなる(利尿作用がある)
カフェインの1日の許容量は健康な成人で400mgほどだとされており、これは150mlのコーヒーカップで4杯強に当たる量です。なお150ml中のコーヒーに含まれるカフェインの量は90mgほどです。
コーヒーとカフェインの関係についての詳しい情報は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
『カフェインレスコーヒー』でカフェインの量をコントロール
カフェインの効果を取り入れつつコーヒーを楽しむには、「カフェインコントロール(カフェインマネジメント)」の考え方が有効です。カフェインコントロールとは、カフェインの量やコーヒーを飲むタイミングを調節しながらカフェインと付き合うことを言います。
そしてカフェインの大部分がカットされているカフェインレスコーヒーは、カフェイン量をコントロールするうえで欠かせない存在です。特に以下のような方は、カフェインレスコーヒーでカフェインコントロールに取り組んでみましょう。
- ●カフェインによる体調不良・睡眠障害などを起こしたことがある人
- ●妊娠中・授乳中などでカフェインの量を抑える必要がある人
- ●日頃から、許容量を超えてカフェインを摂っている人
- ●仕事などで、カフェインの集中効果を最大限発揮させたい人
先ほど、通常のコーヒーなら4杯程度で1日のカフェイン許容量に達すると説明しました。
どうしてもコーヒーがたくさん飲みたい日は、カフェインレスコーヒーを飲むことでカフェインの許容量オーバーを避けつつ、コーヒーをたくさん飲むこともできるようになります。
カフェインを取りすぎていると感じている場合や、妊娠中などでカフェインを抑えたい場合は、いつもの4杯をカフェインレスコーヒーに切り替えれば、カフェインの量を大幅にカットすることが可能です。
カフェインレスコーヒーが持つ成分の効果とメリット

カフェインコントロールができる点以外にも、カフェインレスコーヒーには大きなメリットがあります。カフェインレスコーヒーにも、通常のコーヒーと同じように健康効果が期待されている成分が含まれているのです。得られる成分の内容や効果について、具体的に2つ見てみましょう。
ポリフェノール(クロロゲン酸類)をはじめとする健康によい成分がとれる
コーヒーには『カフェイン』以外にも、ポリフェノールを始めとする有効成分が含まれており、通常のコーヒーと同じように、カフェインレスコーヒーでもそれらの成分を取り入れることができます。
ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、心臓病や動脈硬化を予防する効果がある成分です。下のグラフからも分かる通り、実はコーヒーは他の製品と比較しても抜群に多くのポリフェノールを含んでいます。

コーヒーにはポリフェノールの一種「クロロゲン酸類」も豊富に含まれています。クロロゲン酸類には食後の血糖地を抑えたり、アレルギーを緩和する効果が確認されています。
コーヒーにはポリフェノールの一種「クロロゲン酸類」も豊富に含まれています。クロロゲン酸類には食後の血糖地を抑えたり、アレルギーを緩和する効果が確認されています。また近年では国内外の研究によって「2型糖尿病」を予防することがわかっています。40〜69歳の日本人約5万6,000人を対象にした「国立国際医療研究センター」の研究によると、コーヒーを飲む回数が1日3〜4杯の人はほとんど飲まない人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが男性で17%、女性で38%低下したそうです。
また、コーヒーに元々含まれている「トリゴネリン」という成分も、健康をサポートしてくれる機能があることがことが分かってきました。
医学博士 池谷先生とUCC研究員が語る、「トリゴネリン」の効果とは?
香りによるリラックス効果などが得られる
800種類以上の成分が混じり合って生まれる、コーヒーの豊かな香り。この『香り』は、人の脳や行動に影響を与えることがわかっています。カフェインレスコーヒーであっても『コーヒーの香り』を楽しむことで様々な効果を得ることができるのです。
NPO法人日本ブレインヘルス協会理事長の古賀良彦先生の研究によると、『グァテマラ』や『ブルーマウンテン』といった種類のコーヒーにはリラックス効果を示すα波が出やすいことがわかっています。
その他コーヒーの香りには、集中力を上げる効果があるという研究結果なども発表されています。
高ぶった神経を落ち着かせたいときなど、カフェインレスコーヒーを飲むことでリラックスに役立ててみてはいかがでしょうか。
香りから生まれる、 「癒し」と「集中力」。 | COFFEE BREAK | 全日本コーヒー協会
カフェインレスコーヒーはどうやってできる?カフェイン除去の方法

日本で販売されているカフェインレスコーヒーは、主に以下2種類の製法でカフェインを除去しています。
カフェイン除去の製法 | 特徴 |
ウォータープロセス(水抽出法) | ●生豆を水に浸してカフェインを除去する方法 ●日本で主流のカフェイン除去方法 ●比較的安く提供できる |
超臨界二酸化炭素抽出法 | ●特殊な二酸化炭素を利用して、カフェインのみを抽出する方法 ●比較的新しく導入された製法 ●ややコストがかかる |
いずれの製法も、カフェインの除去率に大きな違いはありません。
カフェインレスコーヒーを選ぶなら、製法よりも「ドリップにするかインスタントにするか」といった飲み方(タイプ)で選ぶのがおすすめです。
カフェインレスコーヒーの選び方について、次から詳しく解説していきます。
カフェインレスコーヒーの選び方<ドリップやインスタントなどのタイプに注目>

カフェインレスコーヒーには様々なタイプ・味わいの製品があります。まずは、飲む場面やタイミングに合った「コーヒーのタイプ」を選ぶことから始めましょう。
カフェインレスコーヒーには主に以下の製品タイプがあります
タイプ | 特徴 |
ドリップ用の粉末 | ●豊かな味わいや香りを楽しめる●豆や産地の違いを楽しめる ●様々なシーンに合わせて楽しめる ●香りや成分の効果を感じやすい |
インスタントコーヒー | ●熱湯を注ぐだけで手軽に飲める |
ペットボトルコーヒー | ●飲みたい時にすぐ飲める ●アイスコーヒーが飲める |
味わいや香りを楽しんだり、コーヒーの成分を積極的に取り入れたい場合は、コーヒー豆を挽いた『ドリップ用の粉末』を選びましょう。コーヒー豆の産地や種類の選び方は、以下の記事を参考にしてみてください。
気軽に飲めることや、出先で飲むことを重視したい場合は、『インスタント』や『ペットボトル』のカフェインレスコーヒーが適しています。
次からは、各タイプからおすすめの製品をいくつか紹介します。
おすすめ製品①「CAFE@HOME デカフェ」シリーズ|フィルター付きドリップコーヒー

※引用:CAFE@HOME デカフェ
シーンやシチュエーションに合わせて楽しみたい方におすすめなのが「CAFE@HOME デカフェ」シリーズです。
3種類のブレンドが展開されており、「お昼のひと休みに」「大切な人との楽しい時間に」などそれぞれおすすめのシーンが設定されています。
おすすめシーンごとに楽しむのもよし、飲み比べて違いを楽しむのもよし、多様な楽しみ方が叶うカフェインレスコーヒーです。
おすすめ製品②「&Healthy」|ワンドリップコーヒー

※引用:UCC &Healthy
コーヒーに含まれる健康成分「クロロゲン酸類」「トリゴネリン」に着目したのが、「&Healthy」シリーズです。レギュラーコーヒー100%の機能性表示食品で、毎日の健康をサポートします。
「トリゴネリン」と「クロロゲン酸類」のそれぞれを関与成分とし、3つの機能をラインアップしています。ワンドリップコーヒーの2種類は、カフェインレスコーヒーです。
おすすめ製品③「DP3000」|カプセル式コーヒーシステム

※引用:業務用サービス オフィス | UCCドリップポッド 業務用コーヒー | ソロフレッシュコーヒーシステム株式会社
オフィスへの設置に最適なコーヒーマシン「DP3000」のカプセルラインアップの中には、カフェインレスコーヒーが含まれています。プロのハンドドリップを、ボタンひとつで楽しむことが可能です。
専用カプセルは18種にのぼり、気分に合わせてコーヒーを選べるのも魅力です。午前中は集中力アップのために苦みの強い「ダークロースト」を、午後はリフレッシュのために「カフェインレスコーヒー」を、といった選び方もできます。
おすすめ製品④「おいしいカフェインレスコーヒー」|インスタント

※引用:おいしいカフェインレスコーヒー 瓶45g | UCC上島珈琲
ストレートでの飲用にも適している「アラビカ種」を100%使用した、こだわりのカフェインレスコーヒーです。
インスタントでありながら、豊かな香りやコーヒー本来のコクが味わえる製品です。
おすすめ製品⑤「COLD BREW DECAF」|ペットボトル

産地・味わいの異なる3種類のコーヒー豆を単品焙煎することで、味わいの立体感を引き出したペットボトルタイプのカフェインレスコーヒーです。天然水を100%使用したCOLD BREWで、すっきりとしたクリアな後味を実現しています。
カフェインレスでありながら挽きたてコーヒーの香ばしさと豊かな香りが楽しめます。
※紹介しているすべての製品の情報は2025年1月時点のものです。
カフェインレスコーヒーおすすめの楽しみ方を解説

最後に、カフェインレスコーヒーで楽しくカフェインコントロールを行うための方法を紹介します。
カフェインレスコーヒーを日常に取り入れるには、「飲む時間帯」と「飲み方」を工夫してみましょう。
飲む時間帯を工夫することでカフェインの効果を上手に調整でき、飲み方を工夫することで美味しいコーヒーブレイクが楽しめます。
カフェインレスコーヒーを楽しむポイント①飲む時間帯を工夫する
カフェインで眠れなくなりやすい人は、午後に飲むコーヒーをカフェインレスコーヒーにしてみましょう。カフェインが睡眠に与える影響を抑えつつ、コーヒーの香りでリラックス・気持ちの切り替えなどに役立てることができます。
ただしカフェインレスコーヒーはカフェインゼロではないため、睡眠直前に飲む場合は少量に抑えた方が無難です。
日中の眠気が特に強い日には、午後一番で普通のコーヒーを飲めば眠気覚ましに効果的です。その日の体調によって、カフェインレスと普通のコーヒーを選べるとよいですね。
カフェインレスコーヒーを楽しむポイント②飲み方を工夫する
カフェインは苦み成分の一種ですので、カフェインレスコーヒーは普通のコーヒーに比べて苦みが少なくややさっぱりとした味わいになります。ミルクなどを加えることで甘味や旨味を加えることができ、カフェインレスコーヒーをより美味しく楽しめるようになります。
また通常の牛乳だけでなく、植物由来のミルクとの相性も抜群です。
▼カフェインレスコーヒーと割って美味しく楽しめる植物性ミルクの例
- ●豆乳
- ●オーツミルク
- ●アーモンドミルク
- ●ココナッツミルク
- ●ライスミルク
意外なところだと、『甘酒』で割る飲み方もおすすめ。自分のお気に入りの組み合わせを探してみるのも面白いかもしれませんね。
まとめ|体に優しいコーヒー習慣をカフェインレスで
90%以上のカフェインをカットしているカフェインレス(デカフェ)コーヒーは、カフェインと上手に付き合うための新しい選択肢として注目されています。
カフェインレスコーヒーを上手に取り入れることで、カフェインの量を自然に減らしつつクロロゲン酸などの優れた成分を体に取り入れることができますよ。
豆の産地にこだわったドリップタイプの製品や、手軽なインスタントなど、カフェインレスコーヒーは様々なタイプや味わいの製品が展開されています。
自分にぴったりのカフェインレスコーヒーを選び、体に優しいコーヒー習慣を目指してみてください。