バリスタのいないアイスコーヒー専門店「ひみつのドリップ」フードロスを削減する規格外フルーツの活用事例|UCC×食べチョクの取り組み

Photo / Bunpei Kimura
Edit & Text / Akio Mitomi

2025年7月11日〜8月3日の、東京・原宿で #バリスタのいないアイスコーヒー専門店「ひみつのドリップ」が期間限定で開催された。3年目となる本イベントの今年のテーマは「フルーツコーヒー」。16種類のフルーツコーヒーを1杯300円、14種類のブラックコーヒーを1杯90円で提供、24日間で延べ約8,000人が来店して過去最高の来店数となった。

カプセル式ドリップコーヒーマシン「DRIP POD YOUBI」で抽出した急冷式のアイスコーヒーに合わせて選定した16種類のフルーツは、日本最大*の産直通販サイト「食べチョク」を通じて、全国の生産者から直接仕入れた。ドリップポッドで淹れる、産地の個性が引き立つ風味豊かなアイスコーヒーのおいしさをさらに引き立てる存在として、フルーツ選びにもこだわり、『味の相性だけでなく、使う素材も誰かの力になれるものを』という思いから出会ったのが、食べチョクの規格外フルーツだった。見た目やサイズなどが市場流通の基準に合わないが、味や品質には問題がないフルーツを使い、食品ロスの削減にも貢献した。おいしさを大切にしながら、素材や生産背景にも目を向けた提案として話題を呼んでおり、企業のSDGs推進やサステイナブルな商品企画の担当者にとっても、参考となる実践事例と言えるだろう。

ドリップポッド10周年企画「FRUIT COFFEE COLLECTION」とは

オープンに先立つ内覧会で、UCCホールディングス執行役員兼ソロフレッシュコーヒーシステム社長の柳原優樹が、イベントの趣旨を説明した。

「ドリップポッドは今年で10周年を迎えました。その記念として取り組んでいる10の企画の1つとして、フルーツコーヒーをテーマにさまざまな場所・シチュエーションで楽しんでいただく『FRUIT COFFEE COLLECTION』という企画を実施しています。なぜ、私たちがこの『フルーツコーヒー』をテーマに実施していこうと思ったのか。その背景には、昨年開催した#バリスタのいないアイスコーヒー専門店『ひみつのドリップ』の反響がありました。

元々、本イベントは本格的なアイスコーヒーを先入観なく体験してもらうため、『抽出方法は“ひみつ”の覆面カフェ』『急冷式ドリップで本格的なアイスコーヒーを提供』『毎年新しいテーマでチャレンジ』という3つのポイントがあります。#バリスタのいないアイスコーヒー専門店『ひみつのドリップ』は2023年から過去2回実施しており、延べ11,000人以上のお客さまに来ていただくなど非常にご評価いただいています」

「今年のテーマをフルーツコーヒーとした背景には、猛暑日が増えた2020年代に入って、特に7月のアイスコーヒーの需要が減少して、35℃を超えると炭酸清涼飲料水のニーズが顕著に高まるという傾向があります。そこで新しいアイスコーヒーの楽しみ方として提案したいのが、東南アジア各国で人気の『フルーツコーヒー』を提供することにしました。コーヒーにフルーツを加えることでコーヒーが本来持っている多彩な風味を引き立て、味わいや香りをより豊かに楽しむことができるアレンジドリンクです。近年、記録的猛暑が続く日本でも新しいアイスコーヒーの楽しみ方として非常に需要があると考えています。

さらに、調査結果からアイスコーヒーにはすっきりフルーティーな味わいが求められているということ、さらにその傾向は20代の若者で顕著なことが分かっています。そこでみずみずしい味わいのドリップコーヒーと夏にぴったりのジューシーなフルーツをかけ合わせることで、この夏をより楽しめる新感覚のアイスコーヒー体験として今年のテーマに決めました。さらに今回は、表参道で開催するイベントだけでなく、初めて全国の5つの飲食店でもドリップポッドとコラボレーションした『フルーツコーヒー』を楽しむことができます」

「また、フルーツコーヒーをご自宅でも楽しめるように、『おうちフルーツコーヒー』としてアレンジのレシピを公式メディア「UCCドリップポッドマガジン」(https://media.drip-pod.jp)と、ドリップポッド公式Instagram(https://www.instagram.com/ucc_drippod/)でも公開しています。非常に簡単に作れるため、ぜひご自宅でも試していただきたいと思っています」

規格外の新しい価値を提供したいー生産者のこだわりをフルーツコーヒーに

続いて、「食べチョク」を運営するビビッドガーデンの秋元里奈代表がコラボレーションの意義を語った。

「私の実家が元々農家でしたが、中学生の時に『農家は儲からないから継ぐな』と母から言われました。結局祖父が亡くなった時点で離農しましたが、同じような状況で離農する農家が非常に増えています。そこで、生産者1人ひとりのこだわりが正当に評価されて、農業が持続可能になる世界を作りたいというビジョンを掲げてビビッドガーデンを創業、産直通販サイト『食べチョク』を始めました。生産者が直接消費者に商品を販売するサイトで、商品規格などがなく、生産者自身が価格を決められるという特徴があります。正規品と味の質は変わらなく、でも市場には流通できない作物を、規格外で傷がついていることを明記した上で、消費者に理解してもらって販売することができます。規格外品に限らず、作り手によって味やこだわりが異なるので、生産者のこだわりに合わせた価格設定ができるのがポイントです。ユーザー数は都市部を中心に120万人以上、登録生産者は1万軒以上おり、国内最大*の産直通販サービスです」

「規格外品が生まれてしまう背景として、気候変動が大きく影響しています。特に近年、猛暑などの気候変動の影響を生産者はかなり受けていて、アンケートでも約6割の生産者の収穫量が、暑さで減っているという回答がありました。さらに、約3割は規格外品の割合が増えているというのが、生産現場の状況です。例えばレモンなら、皮に傷がついていても、味に影響は無く正規品と同じ味が楽しめます。フルーツコーヒーに使われているシャインマスカットの場合は、房から粒が1つでも落ちてしまうと、贈答品としては使えなくなり価格が下がる。そういった商品を流通させていく取り組みをしています。今回のような他企業とのコラボレーションも、サービスの認知率向上と流通量増加に向けて取り組みです。特に皮をむいたりする手間がかかるフルーツは年々消費量が減少傾向にあるので、加工して消費者に届けることも模索しなければと。消費者の規格外品に対するイメージをアップデートし、新しい価値の創造につなげていきたいのが1つ目で、もう1つは生産者の流通先を作ることで所得向上につなげていきたいと考えています。今回のコラボレーションで、私たちのビジョンである生産者のこだわりが正当に評価される世界が前進できたらと思います」

*国内の産直通販サイトの中で「お客様認知度」「お客様利用率」など9つの項目でNo.1を獲得。プレスリリースURL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000295.000025043.html

第3回「ひみつのドリップ」を振り返って

前年に続き3回目の開催となった#バリスタのいないアイスコーヒー専門店「ひみつのドリップ」、今年はドリップポッド10周年という記念すべきタイミングでもあったので、「カプセル式コーヒーに対するイメージや先入観なくドリップコーヒーの美味しさを楽しんでもらいたい」という思いはもちろんのこと、昨年よりもよりパワーアップ&リッチな体験をお届けしたいと昨年から構想していました。そこで、今回はコーヒーだけでなくフルーツの味わいにもこだわり、こだわりをもってフルーツを作っている生産者と直接ご一緒したいという思いから「食べチョク」さんへご相談させていただいたところ、コラボレーションが実現しました。さらに「おいしさ」を大切にしながらも、素材や生産背景にも目を向けた企画として、規格外品の使用も初期段階から検討していました。企業のSDGs推進やサステナブルな商品企画という視点ももちろんありますが、ただ見た目や形が異なるだけで、品質や味わいに問題がないフルーツの価値を再定義できる機会になると考えたからです。結果、「ドリップポッド」と「食べチョク」両社の良さを最大限活かしたイベントを実施することができたと感じています。

さらに、昨年のイベントの反響から「フルーツコーヒー」が非常に多くの方々に新感覚のアイスコーヒーの飲み方として楽しんでもらえることを実感しました。そのため、より多くの方に「フルーツコーヒー」を体験してもらい、美味しい! と感じてもらいたいという思いから、全国各地の飲食店など店舗と連携した企画も実施し、地元テレビをはじめ多くのメディアで取り上げていただくなど、注目してもらうこともできました。その結果、ひみつのドリップの来場者数は過去最高となり、イベントの告知動画はSNSで100万回再生を超えるなど昨年以上に多くの方にドリップポッドを知ってもらうきっかけになったのではないかと感じています。早くも各飲食店のみなさまから「今年で終わりじゃないですよね?」「来年も実施しますよね?」と嬉しいお声を頂いていますので、また来年も多くの方々に楽しんでいただけるよう、チャレンジしていきたいと思います。

UCCグループ ソロフレッシュコーヒーシステム(株) 
事業開発部 PRマネージャー 西川満美子

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